睡眠不足が認知機能低下に与える影響は? 対策も解説【医師監修】

【医師監修】睡眠不足は脳の老廃物排出を妨げ、認知機能低下リスクを高める可能性があります。本記事では原因や生活習慣改善、治験ボランティアの選択肢まで詳しく解説します。
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はじめに
「最近、睡眠時間は確保しているはずなのに疲れがとれない…」「日中ぼんやりして集中力が続かない…」と感じることはありませんか?
こうした状態が続くなら、それは単なる寝不足ではなく“睡眠不足”のサインかもしれません。
実は、睡眠不足や睡眠の質の低下が重なると、認知機能低下につながるリスクがあると指摘されています。
本記事では、睡眠不足が脳に与える影響や、どのように認知機能の低下リスクと関わるのかを解説します。
また、今すぐできる生活習慣の見直しや、必要に応じた専門医受診や治験への参加など、具体的な対策も紹介します。
1. なぜ「睡眠不足」は危険? ~脳へのインパクト~
1-1. 睡眠不足には「量」と「質」の不足がある
「睡眠不足」と聞くと、“単に眠る時間が足りないこと”を想像しがちですが、実は時間だけではなく“質”も大きく関わっています。
- 量の不足: 寝る時間が短すぎる、夜中に何度も目が覚める など
- 質の不足: たとえ7~8時間寝ても、眠りが浅く熟睡できていない
いずれの場合も、脳の休息が十分に得られず、結果的に疲労感や集中力の低下をもたらしやすくなります。
1-2. 脳の老廃物(アミロイドβ)排出が滞る
深い睡眠に入ると、脳は日中に溜まった老廃物やアミロイドβと呼ばれるタンパク質の排出を進めるとされます。
しかし、睡眠不足や夜中に何度も目が覚める状態が続くと、深い眠りが確保できず、これらの老廃物が除去しきれない可能性があります。
アミロイドβの蓄積は認知症リスクの上昇と関連が示唆されており、睡眠不足が長期化するほど認知機能低下のリスクを高める可能性があります。
2. 睡眠不足と認知機能低下の関連性
2-1. 記憶の整理・固定が不十分に
人間の脳は睡眠中、記憶の整理・定着を行っています。新しく得た情報や学習内容は、深い眠りのときに脳内で再生・再構築されます。
しかし、睡眠不足が続くとこのプロセスがうまく働かず、物忘れが増える・学習効率が下がるといった影響が出やすくなります。
2-2. 昼夜逆転による悪循環
高齢者や生活リズムが不規則な方に多いのが、昼夜逆転です。
夜になかなか眠れず昼間に寝てしまう → 体がだるくなる → さらに夜眠れない
この悪循環が続くと、脳の生体リズムが乱れ、認知機能の低下だけでなく、体力・気力も落ちてしまうことがあります。
2-3. 研究データが示唆するリスク
ある研究(※1)によると、50~60歳時点で短時間睡眠(6時間以下)の人は、7時間睡眠の人と比べて約30%高い確率で認知症を発症していたと報告されています。
ただし、これは因果関係を断定するものではありませんが、質の良い睡眠を確保することが認知機能低下を防ぐ一助になる可能性があります。
3. 睡眠不足を防ぐ!生活習慣の見直しポイント
3-1. 朝の光を浴びる
朝起きたらできるだけ早く太陽の光を浴びることが重要です。
体内時計がリセットされ、夜に自然な眠気を誘導しやすくなります。短いウォーキングを組み合わせるとより効果的です。
3-2. 寝る前のスマホ・TVを控える
スマートフォンやテレビのブルーライトは脳を刺激し、眠気を妨げる可能性があります。
寝る1時間前には画面を見る時間を減らし、リラックスできる環境づくりを心がけましょう。
3-3. 昼寝は短時間で
どうしても昼間に眠気を感じたら、20~30分程度の昼寝で十分です。長時間の昼寝は夜の睡眠に影響するため注意が必要です。
3-4. 適度な運動・バランスの良い食事
日中に軽い運動を取り入れ、夜は消化に負担をかけないよう夕食を早めに済ませると、寝つきが良くなりやすいです。
また、アルコールやカフェインの摂りすぎも睡眠の質を下げるため注意しましょう。
4. それでも改善しない場合は? ~医療機関・治験の活用~
4-1. 専門医への相談
生活習慣を見直しても睡眠不足が続き、認知機能低下が心配な場合は、早めに専門医へ相談しましょう。
4-2. 治験ボランティア登録という選択肢
近年、加齢や認知症リスクを含む睡眠不足に対する治験が進められています。
興味がある方は、治験ボランティア登録の情報を調べてみるのも一つの方法です。

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5. まとめ:質の良い睡眠こそが脳を守るカギ
質のよい睡眠のポイント
- 睡眠不足は**「時間」だけでなく「質」**の低下も影響する。
- アミロイドβの蓄積が進み、認知機能低下のリスクを高める可能性がある。
- 夜中に何度も目が覚める・昼夜逆転が続く場合は生活習慣の見直しを。
- 改善しない場合は、専門医の受診や治験参加も選択肢に。
睡眠は脳と体を修復し、記憶を整理する大切な時間です。早めの対策を心がけ、質の良い睡眠で脳を守っていきましょう!
6.参考文献
(※1)Association of sleep duration in middle and old age with incidence of dementia Nature Communications volume 12, Article number: 2289 (2021)
監修者

東京センタークリニック 院長 長嶋 浩貴
Hirotaka Nagashima
千葉大学医学部卒業後、東京女子医科大学循環器内科に入局。ハーバード大学医学部での研究経験を経て、東京女子医科大学で血管研究室長を歴任。その後、350以上の治験に携わり、2017年には日本初の分散型治験を実施。現在は東京センタークリニック院長として、認知症を含む多くの臨床研究に取り組む。
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