治験応募で気になる費用・通院回数は? 実際のスケジュール例も解説

治験にかかる費用や通院回数が気になる方へ。認知症や不眠症の治験を例に、自己負担や負担軽減費の仕組み、通院スケジュールをわかりやすく解説します。【治験コーディネーター監修】

目次
治験応募で気になる費用・通院回数は? 実際のスケジュール例も解説
治験に興味はあるけれど、「どのくらい費用がかかるの?」「どれくらいの頻度で病院に行く必要があるの?」といった疑問や不安をお持ちの方は多いのではないでしょうか。特に認知症や不眠症など、日常生活にも負担が大きい症状を抱えている場合、家族への影響や自身の体力面などを考えると、治験参加には悩みがつきものです。
この記事では、治験にかかる費用や通院回数の目安を中心に、実際の仮スケジュール例も踏まえて解説します。費用負担がゼロにはならないケースもある一方で、治験特有の補助制度やスケジュール調整などのサポートも期待できます。ぜひ参考にしてみてください。
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治験にかかる費用はどうなるの?
保険外併用療養費制度によるしくみ
治験では、治験薬や治験に必要な検査にかかる費用は原則として無料です。これは、製薬企業など治験を実施する側がこれらの費用を負担するためで、通常の医療とは異なる点のひとつです。
一方で、治験以外の通常診療やお薬、初診料・再診料などは保険診療として扱われるため、自己負担がまったくゼロになるわけではありません。
たとえば、認知症や不眠症で日常的に処方されている薬や、定期的な検査など、治験とは直接関係のない医療行為については、通常どおり保険診療の自己負担が発生します。
このように、「治験に関わる部分は無料」「通常診療に関わる部分は保険診療で自己負担あり」という二つの仕組みが組み合わさっているのが、「保険外併用療養費制度」と呼ばれる制度です。治験に参加する前に、この点を把握しておくと安心です。
「負担軽減費」のしくみ
治験では、参加することで生じるさまざまな負担を軽減するため、「負担軽減費」と呼ばれる費用が支給される場合があります。具体的には交通費や宿泊費、食事代などが含まれることが多いですが、あくまで「治験参加による負担を軽くする」ことが目的なので、試験ごとに支給額や支給項目が異なります。
- 支給される例: 通院に必要な交通費、宿泊費、食事代など
- 支給されない例: 治験とは関係ない私的な買い物や、美容・嗜好品など
このように何が負担軽減費として認められるのかは治験ごとに異なるため、事前の説明会や治験コーディネーターとの面談で必ず確認しておきましょう。
通院回数・頻度はどのくらい?
一般的な治験の通院頻度
治験の通院回数は、その治験の「プロトコール(実施計画)」によってさまざまです。月に1回程度の通院で済む場合もあれば、週1回ペースで来院するケースもあります。特に治験の初期段階は、検査や診察が多いタイミングのため、通院頻度が高くなる傾向があります。
また、認知症や不眠症の治験では、認知機能をチェックするテストや睡眠に関する調査が行われることがあります。初回の検査は半日程度かかることもあり、体力面や家族の送迎などを考えて余裕を持ったスケジュールを組む必要があるかもしれません。一方で、定期的なフォローアップは短時間で終わることも多く、オンラインや電話での症状報告がメインとなるケースもあります。
仮スケジュール例:60代女性Aさんの場合
1週目:初診と各種検査
- まずは医師の診察や、認知症の状態を測るテスト、睡眠に関するヒアリングなどを実施
- 血液検査や心電図、脳画像検査(MRIなど)も含まれ、半日ほどかかる可能性あり
2〜3週目:治験コーディネーター(CRC)によるフォローアップ
- まずは医師の診察や、認知症の状態を測るテスト、睡眠に関するヒアリングなどを実施
- 血液検査や心電図、脳画像検査(MRIなど)も含まれ、半日ほどかかる可能性あり
4週目以降:月1回程度の通院
- ○ヶ月(例:3〜6ヶ月)で治験終了
- 血液検査や心電図、脳画像検査(MRIなど)も含まれ、半日ほどかかる可能性あり
○ヶ月(例:3〜6ヶ月)で治験終了
- 治験によっては更に長期になる場合もある
終了時にも検査や評価を行い、治験薬のデータを最終的に確認
認知症がある場合は記憶や判断力が低下することが想定されるため、家族が付き添ったり、症状や行動記録をサポートしたりする場面が多くなります。特に睡眠日誌や服薬状況の管理など、家族の協力が必要になることも少なくありません。
Q&A
- 仕事や家族の予定は調整しやすい?
事前相談が大切です。
治験では、あらかじめ大まかなスケジュールが決められていることが多いですが、参加者の都合にもできるだけ配慮されます。通院日程については治験コーディネーターや担当医に相談してみましょう。仕事の休みが取りにくい場合、土曜に対応している医療機関もあるかもしれません。家族の予定とも早めに調整しておくと安心です。
- 夜間の通院が必要になることはある?
夜間通院は基本的にありません。
治験での通院は、通常医療機関の診療時間内に行われます。ただし、不眠症などの治験では、夜間の睡眠検査に協力していただく場合があります。その際は医療機関で入院または宿泊し、夜間の睡眠の様子をデータとして記録する形です。また、夜間に急な症状やトラブルがあったときのために、24時間対応の連絡窓口が用意されていることが多いので安心です。
- 遠方在住の場合はどうなる?
基本的に通いやすい医療機関が推奨です。
治験中に副作用や体調不良が起きた場合、すぐに受診できる環境が望ましいとされています。そのため、自宅から無理なく通える医療機関を選ぶのが一般的です。入院が必要な試験であれば、通院回数が少なくなる分、遠方でも参加できる場合がありますが、これも試験ごとに異なります。
一方で最近は、DCT(分散型治験)という、オンラインを活用した新しい治験の形態が増え始めています。将来的には、居住地にかかわらず幅広い試験への参加が可能になるかもしれません。
- 認知症+不眠症特有の検査は大変?
検査時間はかかることもあるが、サポート体制が整っていることが多いです。
認知症テストや睡眠日誌、睡眠検査など、通常の治験より多めの検査が必要となる場合もあります。とはいえ、治験コーディネーター(CRC)や医療スタッフのサポートが手厚く、検査手順や記録のつけ方も丁寧に説明してもらえます。家族の付き添いがあることで、検査の負担を分担できるケースがほとんどです。
まとめ
治験は通常の医療とは少し異なるシステムであり、治験薬や必須検査の費用が原則無料などのメリットがあります。一方で、初診料や通常の診療分は自己負担となるため、全額無料ではない点に注意が必要です。
また、治験参加による費用や時間負担を補う目的で「負担軽減費」が支給される場合もあります。試験ごとに支給内容が異なるので、事前説明をしっかり受けて理解しておきましょう。
通院回数については、月1回〜週1回などさまざまなケースがありますが、認知症+不眠症の治験では検査時間が長めになることもあります。家族や職場の都合と照らし合わせながら、治験コーディネーターや担当医とスケジュールを相談すれば、無理なく続けられる可能性が高いでしょう。
治験を受けるかどうか悩んでいる方は、まずは興味のある治験の情報を集めてみるのがおすすめです。実施医療機関へ問い合わせると、具体的なスケジュールや費用の詳細を確認できる場合があります。
認知症や不眠症で悩んでいる方にとって、治験は新しい治療の可能性を探る一つの選択肢です。自分や家族の負担を軽減しながら、納得のいく形で検討してみてください。

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