治験のメリットとデメリットを徹底比較~参加を検討する上で知っておきたいこと~

治験に参加するメリットとデメリットをやさしく解説。
最新の治療を受けられる可能性や専門スタッフによるサポート体制、そして通院の負担や副作用のリスクなど、参加前に知っておきたいポイントを簡潔にまとめました。【治験コーディネーター監修】
はじめに
「今の治療だけでは思うように症状が改善しない」「新しい治療法に興味がある」。そんな思いをきっかけに治験への参加を考える方は少なくありません。
一方で、
- 「治験って安全なの?」
- 「メリットとデメリットの両方を知りたい」
という疑問をお持ちの方も多いでしょう。
そこで本記事では、治験のメリットとデメリットをわかりやすく解説します。さらに、デメリットに対する対処法やサポート体制も紹介するので、参考にしていただき、判断の材料にしていただければと思います。
治験とは?
新しい「くすり」や治療法の有効性・安全性を調べる”治療の試験”のこと
治験とは、新しく開発された「くすり」や治療法が本当に効果があるのか(有効性)、そして安全に使えるのか(安全性)を確認するために行われる臨床試験です。
製薬会社や医療機関、治験コーディネーター(CRC)などの専門スタッフが連携し、国が定める厳しいルールに沿って進められます。
治験は、段階ごとに慎重にチェックしながら進められ、主に次の3つのステップがあります。
- 第I相試験:少数の健康な方や患者さんを対象に、主に安全性を確認
- 第II相試験:一部の患者さんを対象に有効性や適切な投与量、副作用を検証
- 第III相試験:多くの患者さんを対象に、有効性や安全性の最終確認
これらの段階をクリアし、国の承認を得て、はじめて新薬として一般に流通します。
治験は「安全性が最優先」で段階的に進められます
「治験って、何をされるかわからないので不安…」という声を、耳にすることがあります。
しかし実際の治験は、国の厳格な基準や倫理審査を経て、実施されるため、いきなり危険な薬や治療法を試すようなことは、決してありません。
まず、治験薬は人に使う前に必ず動物実験(前臨床試験)で安全性が確認されます。その上で、少人数から少しずつ範囲を広げる段階的な進め方が義務づけられています。
また、治験に参加中は、治験を担当する医師や治験コーディネーター(CRC)、医療機関のスタッフなど、複数の専門家が患者さんの状態をしっかり見守り、安全性の確保を最優先にサポートしています。
安心して参加いただけるよう、治験には多くのチェック体制が整えられているのが特徴です。
さまざまな領域で進む治験
治験は、がんや心血管疾患、免疫疾患といった命にかかわるような大きな病気から、生活習慣病、希少疾患、精神疾患など幅広い領域で行われています。
例えば、次のような治験があります。
- 【例】認知機能や睡眠トラブルを対象とした治験
- 【例】高血圧や糖尿病など生活習慣病の治験
- 【例】希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)開発のための治験
治験への参加には、年齢、症状の程度や頻度、現在の服薬状況、病歴など、試験ごとに細かな条件が定められているため、参加を希望してくださった方の全員が参加できるわけではありません。
まずは情報を集めながら、自分に合った治験があるか、探してみることがおすすめです。
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治験参加のメリット
最新の治療を試す機会となる
治験の大きな魅力のひとつは、まだ通常の診療では受けることができない、新しい治療法やくすり(治験薬)を早い段階で試せる点です。
既存の治療で効果が得られなかったり、副作用に悩んでいる方にとって、治験は新たな選択肢になることがあります。
病気によっては、現時点で承認された治療法が存在せず、治験が実質的に唯一の治療手段となるケースもあります。そうした状況にある患者さんにとって、治験は「研究に協力する」という枠を超えて、治療そのものへの希望になることもあります。
もちろん、治験薬の効果が必ず得られるという保証はありません。ただ、治療の選択肢が増えるという点で、多くの患者さんが前向きに参加を検討しています。
担当医と細かく相談できる
治験に参加すると、症状の変化をこまめに記録したり、決まったスケジュールで通院する必要があります。
その分、医師と接する機会が多くなるのが特徴です。
通常の診療では時間が限られ、じっくり相談するのが難しいこともありますが、治験では不安に感じていること等を話しやすい環境が整っています。
一人ひとりの状態を細かく確認しながら進めていくため、気になることがあればすぐに相談しやすく、安心して参加できるという声も多くあります。
自分の健康状態を丁寧にみてもらえる
治験では、薬の効果や安全性を正確に評価するために、参加者の体調や生活の変化等を細かくモニタリングします。
そのため、普段の診療では行わないような詳細な検査や測定を受ける機会も多く、自分では気づきにくい体調や症状の変化を、早めに見つけてもらえる可能性があります。
特に、病状がゆるやかに進行するような疾患では、こうした継続的なチェックが状態を客観的に把握する助けになります。
「自分の健康状態を丁寧にみてもらえる」――この点をメリットとして感じる参加者は少なくありません。
負担軽減費が支給される
治験では、参加者の経済的・時間的負担を減らすために、負担軽減費が支給されます。
金額や条件は治験ごとに異なるため、参加前にしっかり確認しておくと安心です。
治験参加のデメリット
副作用のリスクやプラセボの可能性
●副作用リスク
開発中の薬剤のため、未知の副作用が現れる可能性もゼロではありません。
●プラセボ(偽薬)の可能性
対照実験としてプラセボを使う場合、自分が治験薬かプラセボか、どちらの薬を服用しているかはわかりません。
こうした不確定要素については、治験に参加する前に医療機関で十分な説明があります。疑問・質問もその場でできますので、参加前にメリット・デメリットをしっかり理解した上で、納得してから参加するようにしましょう。
通院や検査の負担が増える
治験では、通常の治療と比べて通院回数や検査の頻度が多くなることがあります。
仕事や家事と両立している方にとっては、予定を調整するのが大変に感じる場面もあるでしょう。
また、試験内容によっては、日々の服薬状況や体調の変化を細かく記録する必要があるなど、少し手間に感じることもあります。
精神的な負担
- 「新薬を試すのはやはり怖い…」という心理的な不安
- 効果が期待ほど得られなかった場合の落胆
- 周囲に治験参加への理解が得られない
治験に参加することで生じる精神的負担は、思いのほか大きいと感じる方もいます。
デメリットを軽減するために
CRCや専門スタッフとの連携を密に
治験コーディネーター(CRC)は、治験がスムーズに進むようサポートする専門スタッフです。疑問や不安がある場合は、遠慮なくCRCに相談できます。
通院時間帯の調整や、当日の流れの説明、体調面でのサポートなど、参加者の負担を少しでも軽くするための工夫を一緒に考えてくれる存在です。
不安や負担をひとりで抱え込まず、CRCや医師に相談しながら進めることで、治験に参加しやすくなることも多くあります。
負担軽減費の活用と事前確認
- 交通費などの負担が、負担軽減費でカバーされるか事前に確認
- 仕事や家事・育児等との両立を考える場合は、あわせて1回の通院にかかる時間や頻度をしっかり把握する
自分にとって、無理のないペースで参加できそうな治験かも大事なポイントです。少しでも迷うときは、率直に治験コーディネーターと相談してみるとよいでしょう。
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家族や周囲の理解を得る
- 通院付き添いや日々の記録補助など、家族やパートナーの協力で負担を減らせる
- 事前に治験の概要や目的、参加したい理由等をしっかり説明しておくと、理解が得られやすい
初めての治験参加中には、戸惑ったり負担に思うこともあるかもしれません。周囲に隠しながら参加するのではなく、家族や身近な方の理解や協力、支えが得られると安心です。
まとめ
治験は、専門スタッフのサポートを受けながら最新の治療法を試す機会である一方で、副作用のリスクや、通院・検査が増えることで日常生活に負担がかかる場面もあります。
参加を検討する際は、良い点とあわせて、こうした点についても知っておくことで、「自分にとって参加できそうか」を落ち着いて判断できるようになります。
- メリットとデメリットをしっかり把握したうえで、自身の症状や生活スタイルに合うかどうか考える
- 疑問や不安は主治医や治験コーディネーターに相談し、早めに解消する
- 家族や周囲の協力体制を整え、必要に応じて負担軽減費などを上手に活用する
これらのポイントを踏まえ、「治験に参加してみようかな」と思われた方は、まずは治験紹介を専門とするサービスを活用してみてはいかがでしょうか。
自分に合った治験を探し、納得のいく形で参加を検討していただければと思います。

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